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ブログ移転のお知らせ

twitterに書き込みまくり、ご無沙汰になっていましたブログ。
そして放置プレイだったポートフォリオサイト。
その2つをwordpress製のサイトにまとめることにしました。

今後はこちらに遊びにきてくださると、とっても嬉しいです。

それにしても、7年もブログ書き続けてたのね!すごいっ!!
# by kiyoko_okubo2 | 2011-02-06 03:41

夕日を眺めて

TABアプリで、いくつか美術展をピックアップ。
銀座のエルメス、新宿伊勢丹、ワタリウム美術館、森美術館。
赤坂駅から一番近いヒルズへ、ちいばすで向かった。
日枝神社の横断歩道はスーツ姿のビジネスマンで、Bizタワー付近はSMAPファンで溢れ返っていた。

森美術館の小谷元彦展へ。
学生時代からずっと好きだったアーティストだけど、作品コンセプトは触れないようにしていた。
けれど、もう大丈夫だと思い、音声ガイドでじっくり聞いた。

「ファントム・リム」「ロンパース」「ナインスルーム」。
少女時代の失われた感覚、性への衝動と狂気、そして甘美な死への恐怖。
「ホロウ」の展示空間では背筋に寒気をおぼえた。
真っ白な世界に浮かぶ、聖女のような2人の少女。
水面に映る自分の姿と見つめ合うように、そして寄り添って鑑賞者を眺めるように。
かぎりなくエロティックかつサディスティックだ。

「ナインスルーム」で体験する、あの戦慄。
恐ろしくて足がすくむのに恐怖の美しさに取り憑かれ、奈落の底を見つめてしまう。
狂気と美しさは表裏一体。
恐怖で体が強ばる一方、このまま奈落に落ち続ければいいのに、と思った。
甘やかなスリル。

卒業制作は、このナインスルームからヒントを得た。
私は水面に映る波紋に、自分の経験を投影した。

触れれば水の冷たさを感じることができるのに、水面に映る像は掴むことができない。
どんなに距離を縮めても、どんなに触れ方を変えても、結果は同じ。
まるで人の心のように、はかなく、その姿は移り変わってしまう。
ならば像を自分の意志でコントロールできたら、哀しさを癒すことができるのではないのか...

もう8年も前になるのに、記憶が鮮明に蘇ってくるのが不思議。


あの時は死ぬまで逃れられないと思っていた。
だから、苦しさや哀しさを作品に吐き出すことしかできなかった。
それが年末の出来事で、突然消え去った。
私は存在しない恐怖と20年以上も戦っていたんだと、やっと気付けた。
もうぶつける必要はない。


展示を見終わって、スカイビューでジェラートを食べた。
家族連れ、お一人さま、カップル。それぞれ笑顔で夕日を見つめている。

やっと私は自分に戻れる。

夕日がきれいだった。
夕日を眺めて_e0100410_22152970.jpg

# by kiyoko_okubo2 | 2011-01-04 21:48

パズルのピース

長い眠りから覚めた。
記憶と感覚が急激に戻ってくる。


21_21のワークショップで、ドイツでお世話になった方と再会した。

ダンサーであるユイさんは人生の目標であり、憧れの人。
実は、香取慎吾のおはロックの振り付けをされた方(!)。
異国の地・ベルリンで結婚と出産を経験し、現地で言葉を覚え、幾多の試練を乗り越え、
今では日本を代表する日本人ダンサーである。
ベルリンのDock 11や日独センターの公演も記憶に新しいところ。
毎年、横浜の赤レンガ倉庫での公演で帰国される。

そして、ハンブルクで同じ日本人に騙されそうになったとき、助けてくれた大恩人。
ドイツという国の素晴らしさと、前向きに生きることを教えてもらった。


ミッドタウンの景色が、ベルリンに変わっていく。
言葉を選びながら、私の問いに丁寧に答えるジュンジさんも隣にいる。
東大博士課程に所属されていた頃からの大先輩。
本当にあの頃のようだ。

この5年間、ずっと言えなかった想いを吐き出した。
恥ずかしくて誰にも言えなかった。

海外での事を忘れなければ、日本社会に適応することができなかった。
あえてドイツ語に触れないようにしていた。
ステレオタイプに自分を当てはめ、楽に生きていけばいいと言い聞かせた。
状況が悪くなるとドイツに帰りたい、そればかりで過去に甘えていた。

吐き出した後、沸き上がってくる活力。
今まで見てきた世界を、私はどう構築していけば生きる価値を見つけられるのか?

哲学的な話からアート、デザイン、科学、広告の存在意義の話まで発展。
問いにならない問いに答えられる、この2人と話せている自分はラッキーだと思った。
そして、ジュンジさんからいただいた研究論文を読んでいる。
年齢もある(汗)...し、日頃使わない思考回路を使うので速度が遅い。
けれど、1つ1つ扉を開いていかないと、行きたい場所には辿り着けない。


10月は、過去を現在に蘇生させる作業。
20代の前半に出会った人達と再会し、今の自分を冷静に見てもらった。

始発まで付き合ってくれた、サークルの先輩・同期たち。
10年も前に別れたのに、まるで昨日までずっと飲んでいたみたい。
Als常連のアーティスト・近森さんには「お前と名刺交換する日が来るとはな〜w」なんて言われ。
れいしうさんは相変わらずの優しさで、私を連れ出してくれた。

本気で怒ってくれる同い年の上司との会話で、また何かを思い出した。
言葉にはしないけど、見守っていてくれるチームのみんな。
こんなにも多くの人が居てくれる。


失っても大丈夫、きっといつかまた会える。
それを確信できた。

もうトライしよう。
# by kiyoko_okubo2 | 2010-10-25 00:31

おかしな日

頭の中のイメージが、まるでパパラッチのフラッシュみたい。
止めていたボタンが弾け飛んで、溢れ出てきたような感覚。

六本木の21_21でやっている佐藤さんの展示を見に行った。
本当は資生堂ビルの、石上さんの展示を見たかったけど、月曜定休だったと判明。
会社でのプレゼンが終わり、銀座に向かいがてら東京国際フォーラムで一息ついたが、
渋々プランを変更した。

イライラを鎮めるべく、しばらくベーグルを食べながら天を眺める。
ビニョリの設計は税金の無駄遣いだと非難されていたけど、私にとっては東京で一番好きな場所。
天に浮かぶ箱舟を眺める度、ふりつもった日々の埃がキレイになる気がする。
子どもの無邪気な声がして、我に返って六本木を目指した。


展示会場に入り、無機質な空間を眺める。
展示されたマシンで自分の体を計測し、地下へと歩いていく。
認めざるをえないというテーマの通り、無防備な自我が暴かれていく。
恥ずかしさと怖さとの狭間で、猛烈なドキドキ感を感じる。

好奇心を開放して全ての作品を見た。
そのときは面白い、楽しい、そのくらいの気持ちだった。
美術館を出て、裏にあるオシャレなビルが視界に入った。
groundとK. Shinoyamaの表札!
思考を刺激されて、ウキウキしながら駅に向かった。

頭に浮かぶイメージをひたすらiPhoneでメモ。
1人ブレーンストーミング。
すると、いきなり止まらなくなった。ハイ状態。

それだけならいいけど、どんどん呼吸が荒くなる。
駅について歩き始めた頃には、動悸が止まらず、喉をずっと押さえていた。

フラッシュバックするのは、展示会場の暗がりの中の作品から出る光。
そして、何故か4年前にベネチアで見たビエンナーレの情景。
次はベルリンのハンブルク美術館のロビーの風景。
あとは帰国してから出会った人達の笑顔、声。

...止まらない。気持ち悪い!
この情景を吐き出さないとおかしくなる!


ベッドに倒れ込み、しばらくして落ち着いた。
で、こうしてブログに書き綴っている。

ムサビにいた頃も、留学してた頃も、制御できないことはなかった。
社会に出て軟弱になったのかなぁ。


また同じ発作が起きないよう、吐き出す方法を考えている。
絵でもシナリオでも粘土でも映像でもいい。
アーティストとしてご飯を食べている旧友たちに話さないと。


自分が違う生き物になったみたい。
# by kiyoko_okubo2 | 2010-09-27 20:01